就労ができない外国人を就労させたとしてウーバーイーツが書類送検されたニュースは、まだご記憶に新しいかと思います。

もともとウーバーイーツは警視庁から指導を複数回受けていたのにもかかわらず採用手続に改善がみられず違法就労が常態化している点を悪質と判断され刑事手続にのってしまいました。

このように数回の指導を受けながらも改善しないのであればこのような事態を招いてもしかたないかもしれません。

しかし、外国人を雇用する企業が増大するなか、このニュースに不安を感じた社長様や採用・管理担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

安易に外国人を雇用したために書類送検される。

これは、避けたい事態です。

以下、このような事態を避ける方策について解説します。

今回のウーバーイーツジャパンの違法就労事件も含め、一般的に外国人を雇用した企業やその代表者、担当者が刑事訴訟の手続の対象となる典型例としては、

・就労資格のない外国人を違法に雇用、使用した

というものです。

雇用した外国人が就労可能かどうか、を採用する前に確認すれば、この事態を避けることができます。

そして、確認のポイントは、

・外国人が所持を義務付けられている在留カードが真正であること

かつ、

・留資格が就労を許容している範囲内の業務の雇用である

です。

一つ目の真正であることを確認する方法としては、

・在留カードを目視で確認する

・出入国在留管理庁のサイトで確認する

といったものが多く行われてきました。

しかし、目視で確認するのは、簡易でありますが、巧妙に偽造された在留カードの真偽を確認するにはある程度のスキルと経験が必要です。

また、二つ目のサイトで確認する方法は、このサイトでのチェックを潜り抜けるように偽造された在留カードが出回っていますので、この確認だけでは不十分かと思います。

そこで、現在取られているのは、

・市販されているICカードリーダーで在留カードを読み取り、真偽を判定する

・スマホのアプリで在留カードの真偽を判定する

といった方法が主流となりつつあります。この電子デバイスを利用する方法は、その真偽判定の精度が高いですし、判定処理にかかる時間も手間もかかりませんのでお勧めです。

二つ目の就労可能かどうか、の確認です。

当然ながら就労を希望する外国人が所持する在留カードが真正であること、が前提です。

まず、外国人がもっている在留資格区分(ビザ)を確認します。

・永住権、・定住者、・日本人配偶者、

という在留資格区分であれば、風俗などを除いて就労の種類や時間に制限がないので、まずは採用しても問題はありません。

問題になるのは、

・技術人文知識国際業務、・技術、・技能

といった日本に従事を予定する業務を担当するという理由で許可された在留資格区分(ビザ)です。

この在留資格区分の場合、就労はあらかじめ入管が審査対象とした業種にのみ就労が可能ですので、この許可された業務以外の仕事に就労はできません。

たとえば、翻訳通訳の業務を担当する予定ですと入管に説明する資料を提出して、入管も、この外国人が日本で翻訳通訳の業務に就労するなら、入国および就労を許可するとして入国した外国人が、車の運転やライン工に従事はできないというのは理解できるかと思います。

もちろん、この業務にも幅があり、主たる業務の遂行に必要と考えうる付随業務であれば当然に就労は可能です。

たとえば営業職で就労した外国人が、日々業務の管理のためエクセルなどで簡単なプログラムを組むのは、この付随する業務として入管も違法就労とはみなさないようです。

一方で、中華料理の調理人(コックさん)としてその技能の経験が認められ技能の在留資格で日本で就労が許された方が完成した料理をお客様のテーブルにもっていく行為は、調理以外の行為であって一般的にウエイトレスが担当する業務であるから、入管が予定した業務の相当範囲外であって資格外就労として法律に違反した行為です。レジでお会計をすることも同様です。

では、外国人を採用するにあたり、ご自身の会社でお願いを予定する業務が果たして法律の許す範囲内なのか、それとも範囲外で摘発の対象となる違法就労なのかの判断が採用にあたって必要となります。

この判断でもっとも確実な方法は、

・就労可能証明書交付

を入管に申請することです。この申請により、採用後に外国人従業員にお願いしたい業務が適法かどうかの判定が下されます。この申請に対して就労可能証明書の交付を受ければ、まった句問題なく採用と就労が可能です。

この申請には、当然、担当を予定する業務を説明する資料の添付が必要です。当然ながら、この説明資料に虚偽があってはなりません。就労可能証明書には、証明を受けた就労可能な業務内容を(手書きで)記載されていますので、虚偽の内容を申請して、実際には異なる業務に就労させたら、やはり違法な犯罪行為となります。

ただ、この就労可能証明書交付申請は、処分結果がでるまで相当期間がかかります(通常1か月から3か月ほど。ただし、申請内容によってはこの期間が短くなったり長くなったりします)。

そこで、この相当期間を踏まえて採用することになりますが、雇用契約書に、この就労可能証明書の交付を前提として採用するという文言を付け加えれば、採用を巡ってトラブルにもなりません。