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外国人と日本人と当事者とする結婚届審査をする場合の基本的な考え方。

昨今の国際化グローバル化を踏まえ、外国人と結婚する方が増加していることは、ご承知のとおりかと思います。ここでは、外国人と日本人を当事者とする結婚について基本的な考えを記述いたします。

1.通則法による準拠法について
日本人の男女が結婚する場合、その結婚については、日本の民法が定める婚姻の条件(法律用語では要件といいます)を満たしているかを審査いたします。

では、外国人と日本人との結婚(いわゆる国際結婚)の場合はどの法律に基づき審査することになるでしょうか。

国際的な法律関係について、適用するべき法律を指定し、これに適用根拠を与える法律を国際私法といいます。日本国における結婚を含めて親族的身分関係に関する国際私法である「法の適用に関する通則法(以下「通則法」とします。)において、婚姻の成立は、各当事者につきその本国法によるとしています(通則法24条第1項)。

従いまして、日本人と外国人とが結婚する場合日本人に対しては日本国の民法が適用されれ、外国人についてはその外国人の属する国の法(本国法)が適用されます。これら2つの準拠法を決定するためには国籍証明書が必要となります。当該外国人が日本に入国し日本に滞在しているであれば、その国が発給したパスポートを所持しているはずですから、そのパスポートを役所の窓口で提示することで本国法が確定します。

2.準拠法(本国法)の決定
準拠法(本国法)の決定は、以下の手順で決めます。

2.1.届書の本籍欄にひとつの国名だけが記載され、その国名のパスポートなどの国籍を確認できる資料の提出があった場合
役所の窓口で他のくにの国籍を証する資料の提出がなされる等、単一国籍であることについて疑いがない限り委、届書に記載された国の法律を当該外国人の準拠法(本国法)として取り扱います(平成元年10月2日付け民二第3900号民事局長通達)。

2.2.届書の本籍欄に複数の国名が記載され、その国名のパスポート等の国籍を確認できる資料があった場合
これは、いわゆる多国籍の方です。有名な方ですと、日産社長のゴーン氏はブラジルとフランスの両国に国籍を有しています。日本国は、このような多重の国籍を認めていませんのであまりなじみがないかもしれませんが、他国では往々にある事例です。この場合、常居所を有する国の法を準拠法にします。常居所がない場合は最も密接な関係を有する国の法律を準拠法(本国法)として取り扱うことになります。この密接な関係とは、家族や親戚が住んでいるとか、教育を受けたところといったことから判断されるようです。