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難民の雇用継続は可能か?

難民審査中の外国人を雇用している会社で、このまま雇用したいけれど可能か、との不安を感じているところも多いのではないでしょうか。

難民審査

日本国政府は、2010年に入管法を改正し、難民審査を申請した日より6か月経過した外国人に、就労を認めました。難民審査に時間がかかるため、人道的配慮から就労を認め、日本での生活基盤を確保する狙いです。

しかしながら、就労制限のないこの人道的配慮が乱用され、難民申請をして6か月経過後の就労を主な目的として申請する外国人数が急増したことを受け、2018年1月に政府が難民審査の制度を大幅に変更したことは広く報道され、多数の国民の目に触れたことは記憶に新しいと思います。

この政策の転換により、難民審査を申請している外国の方が日本から帰国を選択するケースも急増しています。

難民審査申請中の外国人の雇用

問題は、この難民審査申請中であるとして無制限の就労が可能となった外国人を雇用する企業です。日本国政府の手のひらを返したような方針転換により帰国することになった外国人就労者の穴を埋めなくてはなりません。昨今の人手不足で、いきなり補充人員を手配するといってもなかなか難しいところがあります。給与と人材の質との兼ね合いもあって、できれば、いままで雇用していた外国人労働者に継続して働いてほしいと願うのも自然な判断かと思います。

では、継続して雇用は可能でしょうか。

就労ビザへの切り替え

まず難民審査認定中の外国人に与えられる在留資格(特定活動)から就労ビザへの切り替えは許可されるのでしょうか。

この点、入国管理局としての見解は、難民審査を申請した外国の方が、引き続き日本に在留しつつ「技術・人文知識・国際業務」や「技能」などの就労目的の在留資格を取得するのは不自然であると考えているようです。

従いまして、難民審査申請中であって特定活動の在留資格の有効期間中に就労目的のビザに変更申請しても許可が下り、(在留資格の)交付処分が行われることは極めて難しいと思われます。

「経営・管理」(ビジネスビザ)の交付

また、同様の見解は、就労ビザだけではなく「経営・管理」(いわゆるビジネスビザ。会社の代表取締役(社長)として日本に法人を設立し、経営を行う外国人に対して交付される在留資格)に対しても、難民審査を申請した外国人が日本で経営するからという理由で日本に在留するのは道理に反するとして許可をうけるのは極めて厳しいようです。経営者・管理者に交付されるビジネスビザも、広い意味で就労ビザに含まれるという解釈です。

結婚ビザ

他方、日本人等配偶者の外国人に交付される結婚ビザは、配偶者としての身分に対して交付される在留資格なので、ワーキングビザ・ビジネスビザとは異なる理屈と判断になるかもしれませんが、実際のところは不明です。ただ、身分に対して交付される在留資格ですから、道理に反するという理屈にはならなくても、相当期間難民審査申請していた外国の方が、特定活動の有効期間がまじかに迫ったとき、結婚しましたので、結婚ビザの交付を申請した場合、やはり偽造結婚を疑う合理的理由があるようにも思えます。この点についてはまさに入国管理局の実質的な審査にかかることなのですが、少なくともまったく問題がないとまでは言い切れないのではないでしょうか。

以上から、難民を雇用した企業様は、大変な労力を要するとは存じますが、難民の方の雇用を継続する方向以外の解決策を模索することをお勧めします。

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