*

問)夫との間には2歳と4歳の子がいる30代女性です。現在夫の不貞行為が原因で子を連れて実家に帰省し離婚に向けて協議しているところです。別居期間には夫から生活費として月に10万円をもらっています。夫とはまず離婚の条件を協議したいのですが、夫はまず子に会わせろと面接を強く求めています。正直にいって夫に子を会わせたくないのですが、生活費を工面してもらっている以上、面会交流の場を設けないといけない法的義務というのは生じるのでしょうか。

答)離婚をゴールに据える別居にしろなんにしろ、別居している間は、生活費を請求できる権利が認められます(婚姻費用分担請求)。そしてこの婚姻費用分担請求は、法的に未成年の子の面会交流と表裏一体ではありません。法的にはまったく別の権利義務関係です。
ですので、別居中に生活費をもらっているからといって、必ずしも面会交流を認める法的義務が課されることにはなりません。

婚姻費用分担請求は、別居などにより生活費用が困窮することを避けるべく、支払われる費用です。つまり生活の維持のために支払われるわけです。

いっぽう、面会交流は、未成年の子が健全に育成するよう親と適切に交流することで健全な人格形成を目指す場です。つまり、その目的は子の健全な育成です。

このように権利義務の内容が全く異なりますので、法的に密接不可分というわけではありません。

しかしながら、慣例上、生活費を出しているのだから子に会わせてほしい、子に合わせなければ生活費を支払わないぞといった文句が支払義務者の口からでることも多々あるようです。

別居中の生活費の支弁がなければ生活が立ちいかなくなるのは困ることですので、しぶしぶ合意に応じるような方もいらっしゃいます。この点では、法的な意味ではなく、事実上、婚姻費用分担請求と面会交流は表裏一体という位置づけという理解になってもおかしくはないでしょう。

もっとも面会交流権はあくまで子の健全な育成の目的で行使されるものですから、その具体的内容もこの観点から決めなければなりません。親のエゴが命じるがまま、日時や回数、場所、面会交流中における相手方親の悪口などは、この観点からスクリーニングする必要があるのだと感じます。

そこで、専門家の助言などを踏まえて面会交流の内容を書面化しておくことをお勧めします。そうすることで、別居中の夫からの要求がエスカレートすることやなし崩し的に別居が意味をなさないといった事態を回避できます。