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問)ウラジオストックに住むロシア人女性と国際結婚しました。
結婚は、日本とロシア両国に届け出ています。
結婚の手続きを済ませ、日本に招聘しようとビザの申請をしましたが何度挑戦しても
ビザが発給されません。そこでロシアに住む妻と協議した結果、離婚することになりました。
このような場合、どのような手続きをとればよろしいでしょうか。

答)日本国での離婚は、日本国籍の配偶者と行う協議離婚と同様の手続きで大丈夫です。
またロシア連邦での離婚も協議により可能です。

1.日本国での離婚手続き
ロシア連邦に住むロシア国籍の女性と協議離婚する場合、日本の役所に備え付けてある離婚届を用いて離婚を届け出ます。

離婚届には、住居地などを記入する箇所がありますが、日本国籍の配偶者と離婚する場合に記入する住所の欄には国籍(ロシア連邦)とだけ記入します。

また父母の市名も記入します。ロシアの方にはミドルネームがありますが、ミドルネームの記入については役所によって対応が異なるようです。

ですので、離婚届をいただきに役所に出向いた際に役所の職員さんにミドルネームの記入方法について質問してもいいですし、電話での問い合わせでも大丈夫です。

職業や同居期間、別居開始の年月日については正確に記入します。

以上の記入は配偶者本人でなくても第三者が記入しても問題はありません。

しかし、離婚する当事者が署名する欄は、本人の記入が必要です。

外国人の場合、一般的には戸籍謄本に記載される氏名を記入します。

もっとも、この欄にいわゆるサインまたはパスポート記載の氏名(ブロック体で印字されいるもの)記入し、日本語を書ける第三者が
このサインの上部に戸籍謄本記載の氏名を付け加えて記入することでも有効になります。

一般的にロシア人の氏名はカタカナで戸籍謄本に記載されていますが、
ロシア人本人がカタカナが書けないとか、そもそも離婚手続きに要する書類の作成に協力的でない場合には、この方法をとってもよいかと思います。

離婚届に必要事項を記入し、漏れがないことを確認すれば、離婚届を本籍地を管轄する役所に届け出ます。本籍地が遠隔地であるとの理由で直接出頭して届け出るのが難しければ、本籍地を管轄する役所以外でも受理はしていただけます。ただしこの場合、受理した役所が本籍地を管轄する役所に送付するうえで戸籍謄本が必要となりますので、届け出る際には戸籍謄本が必要となります。

2.ロシア連邦での離婚手続き
ロシア連邦には、
・離婚の事実を報告する申請書
・日本の役所が離婚届を受理した際に申し出を受けて発行する離婚届受理証明書
・離婚届受理証明書のロシア語翻訳版(翻訳者の署名捺印またはサインがあるもの)

を携えて、ロシア連邦の役場(ザックス)に出向き、手続きを行います。

ここで関心をもつのが、離婚する日本人配偶者自身がこのザックスに出頭する必要があるか、でしょう。

この点、私が港区にあるロシア連邦領事部で調査・確認したところ、本人の出頭が必要であるとの回答でした。

しかしながら、実際に私が聞いた話では、誰一人として離婚する配偶者自身がロシア連邦に出向きザックスで離婚手続きをしたということを聞いたことはない、ということでした。

この点、私自身もわかるようなわからないような不明な印象を受けています。
実際に離婚するにあたってザックスに照会をかけることをお勧めします。
ロシア連邦は、ビザ免除国ではないため渡航の際に入国ビザが必要ですし、モスクワやサンクトペテルブルクはもちろん、ウラジオストックやハバロフスクも気軽に行ける距離ではないですし、渡航費用もばかにはなりません。

いずれにせよ、ロシア連邦での離婚はとくに弁護士をたてて離婚裁判をする必要はありません。上記の書類を作成、提出し、手続きをすれば無事ロシア連邦でも離婚が有効に成立します。

以上ロシア連邦領事部にて確認済。