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暴言をはいたり威嚇する夫と離婚したい!認められる?

暴力や虐待行為は、たとえ夫婦間であっても絶対に許されるものではありません。

夫の妻に対する同居に耐え難い暴力・虐待が原因で夫婦関係が破綻した場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)にあたり、離婚は認められます。

暴力には、単に殴る蹴るといった肉体の暴力だけでなく、暴言や威嚇などの精神的な暴力も含まれます。

1.暴力の定義

許されがちだった配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護を図るべく、平成13年「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV防止法(http://urx.nu/aqsN ))が施行され、配偶者からの暴力が許されないことが明確になりました。

そして平成16年の同法改正により、「配偶者からの暴力」には、「配偶者からの身体に対する暴力」のみならず、これに準ずる「心身に有害な影響を及ぼす言動」をも含めて定義され増した(同法1条)。

この改正により、精神的暴力も同法の保護の対象となることが明確化されました。

このように、配偶者による暴力が許されないものであることが明確にされたことで、離婚訴訟においても、配偶者の暴力・虐待が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかの判断に影響を当てえています。

2.身体的・精神的虐待行為と離婚原因

このように夫婦間における暴力・虐待行為は絶対にゆるされるものではありません。

もっとも、具体的な暴力・虐待行為が「婚姻関係を継続し難い重大な事由」にあたるのかどうかについてはさまざまな事情を考慮して判断されますので、暴力・虐待があったからといって当然に離婚が認められるとはいえません。

2.1.「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとされた判例

2.1.1.身体的暴力

・夫が長女に対して、水を飲むと、夜中にトイレに起きてうるさいからという理由で水分の摂取を禁ずるなど口うるさく支持し、思うようにならないと妻や長女に対して殴ったり蹴ったりするなどの暴力を振るった事例

・妻が缶コーヒーで夫を殴打したのに対し、夫が妻の顔面を手拳で殴打し、妻の歯2本が折れたなど、夫が妻に対して相当の程度・回数の暴行・虐待に及んだ事例

・婚姻関係の破綻の原因が、夫が身体障害という自らの苦しみを妻に対する暴力や妻の目の前で物にちする破壊行為でしか解消する道を見出すことができず、その行為の妻に対する影響などに対する推察ができなかったことにあるとされた事例

・夫が妻に対して、髪をつかんで振り回す、電話器を投げつける、包丁をもちだし、「殺してやる」などと脅かした事例

・妻が夫から、顔面を殴られたり、殴られて鼓膜を破ったり、夫が食器の入った食器かごを戸に投げつけたりした事例

2.1.2.精神的暴力など

・妻を冷遇ないし無視し、家業の経営やその経済様態について妻になんら相談しないばかりか、日常の夫婦としての意思疎通、会話を求める妻の要請を受け付けず、その結果明確な理由もわからないまま家業を倒産にいたらせた事例

・夫が妻の両親などに対して不信感を抱いたことが遠因となり、ついには、夫が妻の不適切な言辞をなじって生活費を渡さなくなった事例

・夫が妻に対して「岡山弁は汚いので標準語で話せ」「食事は俺が帰るまで待ってろ」などと命令し、「前の女には殴ったり蹴ったりしたけど、お前には手をださないでおこうと思う」などと言って、妻を強制的支配化においていた事例

・夫が妻に過度の性交渉を要求しこれに応じないと夫は怒って、その都度妻に暴力を加えた事例

・夜間に仕事に従事する夫が日中でも妻にしばしば性交渉を要求し、これを断る妻をむりやり押さえつけ、殴る蹴るなどの暴行をふるい性交渉を行うことが事例

2.2.「婚姻を継続し難い重大な事由」にはあたらないとされた判例

・長年会社人間的な生活をしてきた夫が、家事に協力することもなく、優しい言葉をかけるといったこともなかったことをもって、妻が精神的暴力を受けたとして夫の定年退職後に妻が求めた離婚請求

・社会性や柔軟性がなく几帳面で口やかましい夫の性格のために、結婚以来約30年年間常に我慢を強いられてきたとして、妻が子どもの成人を機に離婚を求めた事例