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彼(夫)の携帯を盗み見たけど、これって罪になる?

恋人や夫の様子がどうもおかしいなと浮気の気配を感じたとき、彼氏や夫のケータイのメールや着信履歴をチェックしたくなるのもまったく解せないわけではありません。

そして、携帯をチェックして浮気の証拠をみつけ、この証拠を恋人や夫に突きつけたら、かえって逆ギレされ、おまえのやったことは犯罪だ!訴えてやる!といわれる場合もあります(逆に素直に浮気の事実を自白する人も大勢いますが)。

このように彼氏や夫など、パートナーの携帯を無断で見る行為は法的に犯罪になるのでしょうか?

また、民事上の損害賠償請求を受ける不法行為になるのでしょうか?

以下、刑事と民事で場合を分けて説明します。

1.刑事事件になるか?

まず、相手のケータイが不特定多数が閲覧できる状態であった場合、例えばケータイの画面がひらきっぱなしであったりパソコンの画面上にメールソフトが立ち上がっていた場合、これを見る行為は刑法上犯罪行為にはなりません。不特定多数が閲覧できる状態にしている場合は、本人が保護されるべきプライバシーを放棄しており、犯罪によって侵害される法益がないとみなされるからです。

しかし、ケータイやパソコンに暗礁番号でかぎがかかっており、パスワードを入力しないと画面をみることができない状態で、本人の同意がないなど特段の正当な事情がなく勝手にパスワードを入力するなどしてメールや着信履歴を閲覧する行為は犯罪です。

具体的には、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)によって処罰されます。

処罰の内容は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(11条)、です。

2.民事上の損害賠償責任を負うか?

まず、彼氏や夫がケータイやパソコンを不特定多数が閲覧しうる状態にしている状態でその画面を見る行為は不法行為にあたりません。民法上守るべきプライバシーが放棄されているみなされるからです。

しかし、刑法と同様、不正にパスワード(暗証番号)を入力し、ケータイやパソコンの情報を取得する行為は、本人のプライバシーを侵害する行為であって、不法行為にあたり、民法上の損害賠償請求がかされます。

ここで問題なのは、夫婦や内縁関係など生活基盤を同一にし、日常生活をともにすごしている場合でもなお配偶者に個別のプライバシーがみとめられるか、という点です。

この点につき調べてみたのですが、該当する判例は見当たりませんでした。離婚問題など夫婦問題やプライバシー権に詳しい弁護士や学者に尋ねてみたいところです。

3.裁判になった場合、盗み見た浮気メールなどが証拠として採用されるか?

これは、民事訴訟法上の証拠能力の問題です。

この点、判例は、人格権を侵害するなど反社会的手段によって採取された証拠につき、証拠能力を否定しています。つまり証拠として扱わないということです。

もっとも先に述べたように、夫婦や内縁関係などにおいて、プライバシー権がどこまで認められうるかも問題となりますし、盗み見た行為が反社会的手段にあたるといえるかもまた、問題となるところです。

大方の場合、入手経路は問題とならず、幅広く証拠採用するのが民事裁判ですので、よほどのことがないかぎり証拠として採用されるのではないでしょうか?