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夫が多額の借金して便宜上離婚!離婚の無効を主張して婚姻関係復活できる?

例えば夫が事業に失敗し多額の借金をつくり、債権者から妻に対する督促を避けるため、妻と協議して便宜上協議離婚届をだしたとします。債権者の督促もなくなったので妻に復縁をもちかたけれども拒否された場合、夫は離婚の無効を主張して婚姻関係を復活させることはできるのでしょうか?

1.離婚意思

協議離婚が有効となるには、離婚当事者に離婚の意思がなければなりません。

そして協議離婚は届出(離婚届の受理)により成立しますので、届出の際に離婚の意思のない偽造離婚は無効となります。

ここで問題となるのは離婚意思の中身ですが、判例上、離婚の意思とは「離婚届の届出をする意思」であるとしています。

2.離婚が有効とされた具体例

・債権者から夫に対する強制執行を免れるために、債務整理の解決を見るにいたるまでということで協議離婚をした場合

・債権者の追及を免れ、財産を維持するために方便として協議離婚した場合

・単に戸主権を妻から夫に移すための方便として協議離婚した場合

・従来どおりの生活保護費の支給を受ける手段として協議離婚した場合

3.離婚が無効とされた具体例

離婚意思がないと判断された例としては、夫が妻に対し離婚届に署名するよう要求し、これを拒否した妻に対して茶碗等を手当たり次第投げつけるなどの乱暴な振る舞いをしたので妻がその場を収拾するためやむなく離婚届に署名・押印したところ、夫がそれを役場に提出し、受理された場合(札幌高等裁判所判例昭和55.5.9)。

裁判所は協議離婚届の作成・届出当時妻には離婚の意思はまったくなく、離婚届の署名も険悪な事態を収拾するための方便としてなされたものにすぎず、一方夫も妻の意思を知っていたのであるから、夫婦間に協議離婚の合意が成立したものとは認められず、離婚は無効である旨判示しています。