相続は、被相続人が死亡により開始されます。このことはほとんどの方が知っていることでしょう。
そして相続は、被相続人の財産を相続人が引き継ぐ法律行為です。相続人は、遺言がなければ法定相続人に限られます。このことも広く知られていることでしょう。
では、被相続人が法定相続人によって殺害されて始まった相続の場合でも、法定相続人は被相続人の遺産を相続できるのでしょうか。
社会の常識からすれば、被相続人を殺害したような人間が遺産を相続できるわけがないとすることになるでしょう。明治に制定せれた民法も、このような常識を踏まえ、被相続人を殺害した法定相続人は相続人から排除されます。
条文を見てみましょう。民法は891条にて相続人となることができない者を明示しています。
この条文の第1号をご覧になればおわかりのように、殺人罪(刑法199条)の既遂(殺したという結果が生じた場合)のみならず、未遂(殺そうとして実行行為を行ったが、殺したという結果には至らなかった場合)も含めています。
例えば夫婦でドライブしている最中、運転手の夫が誤って自動車事故を起こし、同乗していた妻が死亡した場合、夫は妻を相続できるでしょうか。
条文は、故意で被相続人を死亡させた場合でかつ有罪判決が確定し刑に処せられた者と規定していますから、故意、つまりわざと、とか、死ぬことになるがやむを得ないといった意識がなく、ミスによって結果が生じた場合を取り込んではいません。従って、過失による自動車事故で被相続人が死亡した場合には、過失犯は相続人であることになります。判例もこのように解釈しています(大判大11年9月25日)。
今回、ドンファンとして名を果てた資産家が自宅で死亡しているところを家族に発見され、そのまま死亡が確認されました。自宅で死亡した場合、必ず警察官が自宅に来て事情を調べますが、今回のドンファンこと和歌山県田辺市の野崎幸助さん(77歳)のご遺体から致死量を大きく上回る覚せい剤が検出されまました。田辺警察は直ちに殺人事件として令状をとり、ご自宅と、野崎幸助さんが経営していた会社に家宅捜査に入っています。捜査の推移を見守りたいと思っています。
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