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技術・人文知識・国際業務の在留資格で日本に居住している外国人が日本で永住権を申請する場合、審査にあたって安定した収入があるかどうかの点は極めて重要な審査対象となります。

当然のことながら技術・人文知識・国際業務の在留区分を許可されているわけですから、日本の法人に雇用されている場合がほとんどですで、職があるかどうかは多くの場合満たしていて、実質的な審査対象は雇用の安定性か、収入が生計を営む上で十分であるかどうか、です。例えば正社員と比べれば非正規雇用の社員は安定性に劣りますし、一人で暮らすのであれば十分な給与を得ているといえる報酬額であっても、家族も支えなければならないのであれば、扶養家族の人数を十分養えるかどうか、といった点です。

さらに、出産後まもない社員で育児休暇を取得しているケースでは、確かに雇用はされているが休暇であるという点で永住権の審査にあたって消極的な評価になるようです。個人的には育児休暇の取得は各会社の就業規則にのっとった休暇であって休暇中にも就業規則にのっとった給与が支払われるわけですから、消極的に評価することに合理的理由が十分あるとまでは言えないと考えます。特に昨今の雇用状況の改善を促進するという観点からすれば少なくとも雇用が継続されていると証明できた時点で雇用の有無の審査は十分であると考えるのもひとつのあるべき姿かとは思います。このように育児休暇の取得が永住権審査にマイナスの方向で響くというのでは、これから急速に増加する外国人労働者(特に女性労働者)が育児休暇を申請しづらくなります。

したがって、正規雇用の社員であって権利として育児休暇を取得している期間は永住権の申請は控えたほうがよいというのもひとつの対策にはなります。

ただ、それでは納得できないという方もいらっしゃるでしょう。

その場合の方策として、結婚している配偶者に関する収入などの資料を添付して永住権を申請するのはいかがでしょうか。

そもそも雇用契約を締結している社員でありながら収入の安定性に消極的な評価がだされるのであれば、より安定性が確保できる配偶者(例えば日本人の夫など)が安定した職につき、十分家族を扶養できるに足る収入を得ていることを補足すれば安定性に対する消極的評価ががふしょくされる場合も十分に考えられるでしょう。

具体的な補足資料としては、

・配偶者の雇用契約書
・給与明細や源泉徴収票、確定申告写しなど収入を証明できるもの
・配偶者(日本人の夫など)の勤務先の会社案内など

といった資料です。また、配偶者が家族(永住権の申請を考えている外国人妻や二人の子ども)を扶養する意思など主観的側面を疎明する資料も添付すれば効果があるかと思います。この疎明資料は表題を「上申書」として、記載内容は身元保証人の用紙にある事項を参考に作成するとよいかと思います。