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夫(配偶者)が覚せい剤やコカイン、ヘロイン、危険ドラッグなどを所持自己使用したとして逮捕・起訴され有罪判決が確定した場合に、妻は離婚できるでしょうか。

当事者同士の協議によって離婚が合意に達し、離婚届を夫婦の本籍地を管轄する役所に提出すれば離婚が成立する協議離婚であれば、離婚の合意に至る原因がなんであれ、妻は離婚できます。

悩みが生じる場合は、夫が離婚に合意しない場合です。

離婚に合意しない場合は、居住地を管轄する家庭裁判所にて離婚調停を申し立てるところからスタートします。この離婚調停は、調停委員が介在して当事者の言い分を聞き取り多能の当事者に意見を聞き、その中で離婚する(もしくはしない)よう説得し、当事者の合意を形成する場です。ポイントとしては、

・当事者の意見がベースとなって調停が進む。
・調停委員による証拠調べはしない。調停委員による職権の証拠調べはできない。
・当事者の合意が形成されなければ、調停不成立として終了する。

といった点があげられます。

もともと第三者を介在しない協議の場で離婚の合意が形成されないわけですから、調停の場でも離婚が成立するとはいいけれません。特に証拠調べもないので、相手方の禁制品を所持・自己使用した事実が調停員の判断材料になるとは必ずしも言えません。

もっとも証拠調べをしないといっても、調停の場で調停員の先生に読んでいただく資料を提出することは許されていますので、この読んでいただく資料として判決文であったり、逮捕・起訴の際にお世話になった弁護人の活動などをまとめた資料を提出すれば、調停員の先生は、覚せい剤や違法ドラッグなどの所持・自己使用で前科があるとの心証を形成するのは間違いないと思います。

とはいえ、当事者の合意が形成されなければ調停は不成立で終了します。不成立の場合、成立したときとことなり裁判所書記官は、単に不成立で終わった旨を記載した記録を残すだけです。調停の場でどのような話し合いがおこなわれたかの記録は裁判所に残しません。

調停が不成立で終わった場合でなお離婚の意思がある場合、離婚裁判を提起します。
夫がシャブやヘロイン、コカインといった違法な薬物を所持自己使用した罪で起訴され有罪判決が下ったケースでは、この事実が「結婚を継続し難い著しい事由」に該当するか同課の判断を巡って争われるかと思われます。

そして、この「結婚を継続し難い事由」があるために離婚したいとの主張とその事実を基礎づける証拠を提出することになります。

この場合、多くの訴訟を担当する裁判官は、このような事実があれば夫婦は破たんし、結婚を継続し難い著しい事由に該当すると判断する可能性が高いのではないでしょうか。もちろん、裁判はさまざまな主張と証拠の提出が重なりますので、必ずしも刑事事件で有罪判決が下りたからといって当然に離婚判決が下りますとは絶対に断定できません。が、一般的な常識から考えて、離婚判決は十分に考えらるかと思います。

弊事務所は行政書士事務所であって、弁護士資格がありませんので、調停・裁判など紛争性のある案件を受け持ったことはありませんし、できないことですので、あくまで推測の域を出ない話ではありますが、常識的な考えなのではなないでしょうか。夫が薬物ジャンキーで前科まで持っているのに、まだ婚姻生活を維持するべきと判断するのは、あまり考えられないようにも思えます。

そこで、夫が覚せい剤などの禁制品や脱法ドラッグなどの薬物に手を出して家庭が崩壊しているといった苦しみを感じているのであれば、思い切って離婚するのもひとつの手かと思います。

ただ、このような薬物に手を出すようなタイプの男性は、往々にして離婚を切り出した妻に対して絶対離婚しないと切り返し、暴力をふるうなどの威圧をしがちです。つまり、妻を脅すわけです。

しかし、その脅しは、あまり真に受けないでも大丈夫です。私の合法な範囲内での活動で経験した範囲内でのお話しで申し訳ないのですが、この手の脅しは、屈しさえしなければ、被害をこうむることはありませんでした。一番避けるべきは、脅しがもたらす恐怖の克服です。

さて、女優の高島礼子さんと夫で元俳優の高知東生被告との間で協議離婚が成立したとの報道がありました。このケースでは高島さんと高知東生被告(覚せい剤取締法違反(使用、所持))は協議離婚でしたが、もし、高島礼子さんか高知東知被告のどちらか一方が離婚を巡った争ったとしても、おそらく離婚になったと思います。高島礼子さんは、賢明な判断を迅速に下したと個人的には受け止めましたが、仮に高知東生被告が抗ったところで、法は高島礼子さんの味方になったでしょう。