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昨日、日本企業が海外に進出する際に交付される助成金に関するセミナーに参加しました。

主催者は、この助成金申請を補助するだけでなく、海外進出に必要になるおよそすべての業務まで包括的に支援する会社です。

この会社は経験が豊富ということで、セミナーの中身も単なる助成金制度の解説だけでなく、海外進出を成功するうえで必要となるコツまでも教授していてなかなか濃い内容でした。特に、現地パートナーの選定が事業の成否を決めるというのは、私の経験に照らしても大いに納得するところでした。最初に選んだパートナーが6か月かかっても前に進まなかった事業が、パートナーを変えただけで簡単に前に進んだというのはなるほどなと感じました。

この助成金は、規模が大きく、最大3,000万円も交付されます(事業支出の2/3が上限)
。なかなかの額ですので、進出する企業も、いわば本気モード。

ただ、何点か気になる箇所がありました。

この助成金制度がモデルとしているのは、製造業の海外進出です。ですので、企業が製造した製品を海外に展開するにはもってこいの助成金となっていますが、イベントなどのコンテンツビジネスは、なかなか助成金を給付しずらいような印象を受けました。さらに、製造品の海外進出にしばっていますから、海外拠点や現地での販売促進も補助的な位置づけです。いわば、いいものを作ればそれは売れる製品だという発想です。

この発想は、納得いく点もあります。日本の高度な技術を駆使して作り上げた製品は、発展途上国などでは、特に宣伝しなくても売れます。いわば、モノがない状況の社会に高度な技術を詰め込んだ製品を売るわけですから。

しかし、いいものではれば、売れる、というのは、製品を投入しようとする市場にライバルが存在しない特異な状況です。売れる、と判断すれば、他の国からも製品を投入しようと考える企業が殺到するのは歴史を見れば明らかです。

そうすると、現段階では、他の競合製品がないからマーケティングを取り入れないでも売れる、という商品も、競合製品が市場に参入するまでの短期間のビジネスモデルといえましょう。

これでは、もったいない、です。新規参入の先行利益を確保できれば、後続の参入企業の市場への参入を閉鎖する障壁を構築する必要があります。この障壁は、先行利益を固守するためのものであって、後続して参入する競合企業の存在がなくても構築するべきだと考えます。

にもかかわらず、この助成金制度は、このような視点を欠いているように感じました。

発展途上国に日本の高度な技術を組み込んだ製品を持ち込めば、それは売れるのだ、という日本人のものつくりへのプライドが邪魔をしているのか、あるいは、直近の過去の失敗から目を閉ざしているのかは、わかりません。しかし、中国や韓国といった競合国がアフリカなどの発展途上国に特化したビジネス戦略を構築して新規参入することが否定できない以上、後続する参入する企業に対して市場に参入しずらい壁を構築することは必須の考えだと思います。

とはいえ、魅力ある助成金であることは間違いありません。自分自身、助成金を勉強して、海外に活路を見出し成長しようとする企業を応援したいと願っております。

セミナーの後半は、実際にこの助成金の支援を受けて海外展開した企業の経験を伺うことができました。お話しを聞くにつれ、私もワクワクする気持ちを否定できませんでした。

先にマーケティングを欠いた助成金制度は不完全なものであって後続する新規参入企業に敗北する余地を残す欠陥があると書かせていただきましたが、世界をみれば、日本は、本当に信頼され、求められているナショナルブランドを持っています。

なので、世界は、日本を待っているのも、ほんとうのところだと思います。ですので、勇気を、ちょっぴりで大丈夫ですので、勇気をもって海外に進出するのは、単に莫大なビジネス利益を得るだけでなく、数えきれないほどの多くの人たちに感謝される大切な判断だと私は疑うことなく思っています。